スリープ・トークンはイギリス、ロンドンのバンド。ボーカル、ギター、ベース、シンセサイザー等と、ドラムの2人。ベースとギターがサポートする。厚いギターとドラムの部分と、シンセサイザーとプログラミングの部分を組み合わせ、ジャンルの境界を曖昧にする。
2019年。シンセサイザー、プログラミングを中心とするザ・エックス・エックスのようなエレクトロサウンドに、時折90年代から2000年代のヘビーロックのようなギターを重ねている。ギターが入ればKORNのような雰囲気になるが、これはもともとの曲にKORNのようなメロディーと暗さがあるからだ。ギターはこのアルバムや曲を構成する要素の1つだが、それをもってこのバンドをロックバンド、メタルバンドと言っていいかどうかは疑問だ。このようなジャンルを撹乱する曲こそが、バンドの評価を高くしている。
2021年。ジャンル横断的な曲調は続く。ヘビーロックのようなギターが入っていればそれ以外が電子音響であってもヘビーロック、あるいはメタルなのか、という問いは誰もが抱くだろう。ギターが使われていない時はボーカルとシンセサイザーだけのことも多い。最後の「ミッシング・リムス」はアコースティックギターとピアノ中心。
2023年。ギターの量が大幅に増え、アルバム全体が重厚になっている。シンセサイザーと電子音響でメロディーが構成される部分はリズムもプログラミング主体になり、分厚いギターが出るとドラムもドラムセットによる演奏になることが多い。ギターは曲の中で部分的に出てくるため、リズムギターや伴奏や曲の空間を埋める背景音という前提を持たない構造になっている。おそらく、ベースを入れるという考え方もなく、分厚いギターの中に低音が含まれている。ギター主導ではなくプログラミング主導でヘビーロックやメタルを構築しようという手法が、世代の新しさとメタルの新しさになるのだろう。このアルバムで日本デビュー。
2025年。ギターとドラムが減り、バンドサウンドは曲の構成する部分の一部だ。ギターは曲の中にあるべきものという前提がなさそうだ。「パスト・セルフ」とアルバムタイトル曲にギターは出てこない。ゴーストと同じようにボーカルメロディーは聞き取りやすく、自然な流れで曲が続く。「キャラメル」「インフィニット・バス」は分かりやすいブラックメタルの部分がある。これまで全体として陰鬱なメロディーが多かったが、「ダモクレス」はシンガー・ソングライターのようだ。