KHRUANGBIN

クルアンビンはアメリカの3人組バンド。ベース、ギター、ドラム兼キーボード。中東音楽の影響を受けている。2010年代はインスト曲中心。20年代はボーカルを増やし、一般になじみやすい曲が増えた。「マリア・タンビエン」のミュージックビデオが高く評価されている。バンド名はタイ語の「飛行機」に由来。

1

THE UNIVERSE SMILES UPON YOU

THE UNIVERSE SMILES UPON YOU

2015年。ギターを中心とするインストがほとんどで、1960年代のイギリスのシャドウズ、スウェーデンのスプートニクスを思わせるが、曲のルーツとしてはタイの音楽を主張している。ギターのトレモロアームを多用して音を揺らせている。ロックではなく、室内ラウンジで流れるような音楽。ボーカルがあるのは「ホワイト・グローヴス」「ピープル・エヴリホエア(スティル・アライヴ)」「ボールズ・アンド・ピンズ」。他の曲でもスキャットが入る。

2

CON TODO EL MUNDO

CON TODO EL MUNDO

2018年。雰囲気は前作と大きく変わらない。主にスペインと中東音楽の影響を受けているという。曲によって深いエコーがかかったボーカルが入るが、雰囲気を形成するための声の一部となっている。アメリカでトランプが大統領になり、排外的な政治になっていることを考えれば、このアルバムは日本人が考える以上に政治性が高いと言える。特に「マリア・タンビエン」のミュージックビデオは重要だ。1979年のイスラム革命以前のイランが欧米並みに自由主義であり、女性アーティストが活躍していることを報道する映像になっているが、同時にイスラム革命後の女性アーティストが男性によって消去される。このメッセージ性は欧米の女性運動と同時進行であり、多くのインディーズのバンドの中からなぜクルアンビンが注目されるのかが分かる。

全てが君に微笑む

2019年。アルバムデビュー前の3枚のEP盤収録曲全曲を1枚に収めた企画盤。1、2曲目は2014年の最初のEP収録曲。3~6曲目は2014年の2枚目のEP収録曲。7~10曲目は2015年の3枚目のEP盤収録曲。ボーカルが入る曲はほぼない。デビューアルバムよりも曲の幅は広く、デビューアルバム前は試行錯誤の時期だったことが分かる。

HASTA EL CIELO

2019年。「コン・トード・エル・ムンド」のダブ盤。ベースとドラムが中心。

3

MORDECHAI

MORDECHAI

2020年。ギター、ベース、ドラムのほかに、新たにボーカルを音楽の構成要素として本格的に取り入れた。曲によってボーカルの使い方はさまざまだ。「タイム(ユー・アンド・アイ)」は70年代ファンクに振り切れて、ボーカルもはっきりしている。歌詞は日本語、韓国語を含む10カ国以上の単語が含まれている。「ファーザー・バード、マザー・バード」はギター中心のインスト。「ワン・トゥ・リメンバー」もギター中心だが控えめにボーカルが入る。リズムはダブに近い。「ペロタ」はフラメンコ風の手拍子も入るテンポのよいヒスパニック音楽。「ソー・ウィ・ウォント・フォーゲット」もディスコ調。全体としてこれまでの雰囲気を残しながら、アメリカのポピュラー音楽の遺産にも近づいて聞き手の層を広げた。

MORDECHAI REMIXES

2021年。「モルデカイ」のリミックス盤。「モルデカイ」ではインスト曲だった「ファーザー・バード、マザー・バード」がボーカル入りになっている。「タイム(ユー・アンド・アイ)」はアナログシンセサイザーの長い演奏が70年代を思わせる。元の曲より短くなっている曲もある。

ALI/VIEUX FARKA TOURE AND KHRUANGBIN

2022年。マリのシンガー・ソングライターのヴィユー・ファルカ・トゥーレが、クルアンビンとともに、ヴィユー・ファルカ・トゥーレの父のアリ・ファルカ・トゥーレの曲をカバーしたアルバム。ヴィユー・ファルカ・トゥーレはボーカルとギター、クルアンビンのメンバーは本来のベース、ギター、ドラムのほか、全員がパーカッション、ボーカルも担当し、ギターはシンセサイザーも演奏する。クルアンビンの演奏の幅は他のアルバムよりも広い。

4

A LA SALA

A LA SALA

2024年。デビュー当時のインスト曲中心に戻った。リミックス盤、協演盤で音の数が多いアルバムが続いていたので、オリジナル曲のアルバムでリセットしたかのようだ。「メイ・ナインス」はインディーズポップのようなおしゃれなボーカルが乗る。シングルになっている曲はそれぞれ特徴があり、「ポン・ポン」はギターが目立つインスト曲、「ホールド・ミー・アップ」「ア・ラヴ・インターナショナル」はフュージョンのような曲。シングルになっていない曲は空間の広い落ち着いた曲が多く、曲のタイトルも英語ではない方が多い。

THE UNIVERSE SMILES UPON YOU II

THE UNIVERSE SMILES UPON YOU II

2025年。デビューアルバムと同じタイトルの「II」ということになっているが、デビューアルバムの10曲のうち9曲を編曲して再録音し、「ミスター・ホワイト」を「ビン・ビン」に入れ替えている。「ビン・ビンii」はギターがこれまでで最もロック寄り。「ピープル・エヴリホエアii」はデビューアルバムより5分以上長くなり、8分近い。

(c) 2002-2026 music03.com