ASTRAL DOORS

ワザリング・ハイツのボーカル、ニルス・パトリック・ヨハンソンが在籍するスウェーデンのバンド。ボーカル、ギター2人、ベース、ドラム、キーボードの6人編成。ロニー・ジェイムス・ディオまたはトニー・マーティンを思わせる力強いボーカルを聞かせる。

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CLOUDBREAKER

CLOUDBREAKER

2003年。ボーカルはパトリック・ヨハンソン。ギター2人、キーボードを含む6人組。スウェーデン出身。曲は分かりやすく、オーソドックスなハードロック。ブラック・サバスのトニー・マーティンやロニー・ジェイムス・ディオのような歌い方で全編を通している。一本調子でもあるが、それが改善されれば北欧で屈指のボーカルになる。キーボードはほとんどがオルガンで、ヤンス・ヨハンソンのようなタイプではない。

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EVIL IS FOREVER

EVIL IS FOREVER

2005年。前作と同路線。ミドルテンポの方がボーカルの実力を発揮しやすいのはいうまでもないので、もっとドラマチックに展開した曲が増えてもよい。現在のディオとは、曲の質においては比較にならないくらいよい。作曲はボーカル、ギター、ドラムが中心。ハードさへの欲求をいかに抑えるかがこのバンドのポイントだ。ギター、キーボードが目立とうとしないのはすばらしい。

3

ASTRALISM

ASTRALISM

2006年。曲がすばらしく、ハードな曲でもボーカルの実力を堪能できる。ミドルテンポでなくても質の高い内容になった。傑作。

4

NEW REVELATION

NEW REVELATION

2007年。パトリック・ヨハンソンの歌い方はまとわりつくような感じで、それが暑苦しさにつながっているが、「フリーダム・ウォー」や「バスターズ・サン」のように、力を込めない部分での表現力を磨けばさらに評価が上がるだろう。パトリック・ヨハンソンを聞く人の大多数はロニー・ジェイムス・ディオとトニー・マーティンを比較対象とするので、力を込めなくても十分通用する歌唱を次作以降で示せるかどうか。バックの演奏は前作までと同様。曲によってはもう少し楽器の数を減らしてもよい。

5

REQUIEM OF TIME

REQUIEM OF TIME

2010年。レインボーをハードにしたサウンド。曲が覚えやすく、ほとんどの曲でサビが歌えるようになる。ボーカルがニルス・パトリック・ヨハンソンでなくとも注目されるメロディーだ。バラードがほしい。

6

JERUSALEM

JERUSALEM

2011年。ギターが1人抜け5人編成。ジャケットもタイトルも宗教を思わせるが、曲は西洋史を題材にした歌詞と、そうでない歌詞に分かれる。バンドのイメージを外部の要素に頼っていないので、雰囲気を何かに合わせる必要なくハードロックにできる。ボーカルは力強さがありながら、さらに重ね録りしているところがある。ハードロックとして質が高い。

7

NOTES FROM THE SHADOWS

NOTES FROM THE SHADOWS

2014年。力強く歌う曲が続く中で、「シャドウチェイサー」のイントロなどはホワイトスネイクのデイヴィッド・カヴァーデイルのような歌い方、「ダイ・アローン」のコーラス、「デザート・ナイツ」の多少の明るさが暑苦しさを和らげる。キーボードはほぼオルガンに統一されている。「フードゥー・セレモニー」は1分半のオルガンの独奏。「サザン・コンジュレイション」はアメリカ南部、「デザート・ナイツ」は中東、「ウェイリング・ウォール」は嘆きの壁について歌っており、世界レベルの視点で歌詞が書かれている。このアルバムから日本盤が出なくなった。

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BLACK EYED CHILDREN

BLACK EYED CHILDREN

2017年。ギターが1人増え6人編成に戻った。人間の内面に焦点を当てた曲が多い。キーボードは音の幅をやや広げたか。9分近くあるタイトル曲はディオの「ロックンロール・チルドレン」を思わせる。露悪的にボーカルの男性性と権威性を強調しているが、それが10年以上続くと、実際のところどういう意図なのかを考えざるをえない。

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WORSHIP OR DIE

WORSHIP OR DIE

2019年。デビュー当初、復古的な曲調が注目されて、それをバンドの個性としてアピールすることができたが、それがずっと続くわけではない。やがてボーカル以外の個性は何かと問われることになる。作曲するメンバーがギター、ドラム、ボーカルの3人で固定化しているので幅の広がりは限られるが、キーボードの活かし方は期待できる。「ディス・マスト・ビー・パラダイス」は現代の政治、社会状況について、「セント・ピーターズバーグ」はサンクトペテルブルクのラスプーチンについて歌っている。「トライアンフ・アンド・スペリオリティー」はハロウィン風。

10

THE END OF IT ALL

THE END OF IT ALL

2024年。前作から5年経っているためか、ボーカルが高い音階を歌うときに声が細くなっている。ボーカルの歌い方に頼ってきたバンドからすれば、これは看過できない事態だ。スウェーデン、あるいはヨーロッパのバンドとしては現代の国際政治に関心が高く、このアルバムもアメリカを意識している。ボーカルに頼らない独自の音楽的特徴をつくるとともに、他のヨーロッパのバンドとは異なるテーマを探していく方がいいだろう。「エルサレム」以来の日本盤が出た。

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